ワールド・フレンドシップ・センター(WFC)では、韓国との間で平和使節交換(韓国PAX)を行っています。2019年は4月30日~5月5日まで、広島から7人が韓国を訪問しました。2020年は4月28日~5月3日まで、韓国から平和使節のメンバーが広島にやってきます。期間中、韓国からのメンバーの講師により、「修復的正義」のワークショップを開催することになりました。この機会に、日本では知られていない「修復的正義」について、ご一緒に学びませんか。

「修復的正義」って、何でしょう?

日韓和解のための ワークショップとディスカッション
 

参加費無料
日時:2020年4月29日(水/祝)午前10時~午後4時30分
会場:エソール広島 研修室 広島市中区大手町一丁目2-1 おりづるタワー10階
主催:NPO法人ワールド・フレンドシップ・センター


第1部 修復的正義ワークショップ 10時~12時 
講師:ユ・ジッス(修復的正義講師)

第2部 14時~16時30分 日韓問題ディスカッション
*先着30名受付
*修復的正義とは:加害者と被害者との間を和解のために、仲保者が関わる手法
*韓国からの8人の平和使節団と共に
*昨年春には広島から7人韓国を訪問しました
*ロールプレイとグループによる話し合いで修復的正義を学びます
*批判からではなく、共通点を探すことから進めるディスカッション

参加ご希望の方は下記よりお申し込みください
NPO法人ワールド・フレンドシップ・センター
TEL 082-503-3191 電話受付は火曜日~金曜日 午前10:30~午後3:30
メール wfchiroshima@nifty.com
〒733-0032 広島市西区東観音8-10
http://wfrchiroshima.com
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韓国における修復的正義運動

韓国では、1990年代後半から学者、法律家、市民団体の間で修復正義への大きな関心が生じています。しかし、2006年から2008年にかけて政府と市民団体が実験プロジェクトを実施するまで、その実践は非常に限られていました。この3年の間に、韓国アナバプティストセンター(KAC、韓国平和構築インスティテュートKOPIの前身機関)、紛争解決センター(CRC)などの非営利団体が、韓国で初めての正式な修復的正義プロジェクトを実施しました。それは「被害者と加害者の対話」と呼ばれ、特に韓国刑事司法研究所(KICJ)との未成年者による犯罪におけるパートナーシップのために設けられました。ソウル警視庁、ソウル家庭裁判所、そして未成年者保護施設は、未成年者による犯罪について、対立当事者と訓練を受けた仲介者が同席する修復的会合で取り扱うよう、修復的正義実務者に委ねました。

「被害者と加害者の対話」の主な目的は、両当事者のデリケートな問題とニーズに直接対処し、彼らのニーズに対して、十分で最良な合意を見出すことです。しかし、関係の回復や、危害をもたらした状況、構造、文化が変容するなど、会議前と会議の時間中の両方で、より深い成果が生まれました。仲介者は、賠償を含む成果のリストよりも、両当事者が仲介者の指導を通じて相互にやり取りしている間に起きる人間関係の成長、発達にもっと注意を払おうとしました。CRCとKACの仲介者が用いるアプローチは、人と人との力関係の変革に焦点を当てたため、変革的な仲介と呼ばれます。

2010年5月に実験プロジェクトが終了した後、ソウル家庭裁判所は、未成年者による犯罪の修復的正義プログラムを促進するために、和解委員会のメンバーとして修復的正義実務者と仲介者を任命しました。未成年者による犯罪が増加し、修復的会合の結果が満足のいくものであったので、他の地方裁判所もプログラムを導入し始め、最終的には韓国の家庭裁判所のほとんどに広がりました。仲介者の中には、行政機関を通じてではなく、学校や地域社会の未成年者による犯罪を取り上げたものもあり、それが学校の教師が修復的正義と出会う始まりとなりました。

2010年頃にすべての韓国の学校で体罰が正式に禁止された後、学校の教師はクラス運営を行うための代替手段を見つけようとしました。その頃、校内暴力は社会の中で注目される問題となり、政策立案者だけでなく一般市民の間でも、懸念される問題となっていました。一方、クリスチャンの教師のグループは、ソウルでKOPIが主催する一連の修復的正義の訓練を経て、それを広め始めました。KOPIがより多くのワークショップを実施し、修復的規律の教材を生み出すにつれて、学校の規律措置として修復的正義のアプローチに興味を持つ教師が増えました。修復的規律訓練は広く普及し、KOPIのある京畿道では2012年から2015年にかけて、授業で修復的規律を実施する教員の数が着実に増えました。2015年以降、修復的正義は学校規律の公式アプローチとして、地方教育局によって、全国的にますます採用されるようになってきました。

今、韓国では、修復的規律をクラスや学校で、個人的に実践しようとする教師や研究会の数は増加しています。韓国の学校で比較的短期間に修復的規律が広がった理由は二つあります。第一に、修復的な規律は、学生の非行に対する教育的アプローチを求めていた教師のニーズに合致するものでした。報復的な正義における正義の意味は、過去の不正行為に対して、同じ量の痛みを与えるというところにあるのですが、修復的な正義は、不正行為と不正義によって影響を受けたすべての個人、地域、そして社会の充足した完全性の回復を目指しています。報復的な正義と修復的正義の最大の違いの一つは、どこを見ているかということです。修復的な正義が未来に向いているのに対し、報復的な正義は主に過去に焦点を当てていることは明白です。修復的な正義は、対立している当事者同士の関係性と被害と苦痛を引き起こした構造又は文化を、今後、前向きに変革するために、過去の問題を扱います。したがって、修復的な正義は、単に不正を行った者とそれを処罰する方法に焦点を当てるのではなく、不正行為の影響を受けた人達の広い領域を含む必要があります。教育も未来を目指すものです。なぜなら、教育の目的は、学生の未来を変えることにあるのですから。だからこそ、教師は従来のアプローチよりも修復的規律がより教育的であると感じているのです。

第二に、教師は階層社会でうまく機能する儒教的価値観に基づく伝統的な規律の方法は、現代の個人主義的環境で育つ新しい世代のために変えられる必要があることを認識しています。時代が移るにつれて、学校を支配していた集団文化は挑戦され、変化してきました。その結果、学校の規律におけるトップダウンのアプローチはもはや機能せず、代わりにボトムアップのアプローチが徐々に増加しています。結局のところ、規律の枠組みを懲罰的な規律から修復的なものへと変えることは、社会が権威主義的社会から民主主義的社会に移る際、避けられない現象です。

修復的規律は学区の事務所でとてもよく受け入れられているので、教師が学習の機会に触れ、クラスで実践しようとしていることは明らかです。しかし、だからといって、学校の教室が自動的に平和な場所に変わるわけではありません。彼らが克服しなければならない二つの主な障壁があります。第一に、政府が2012年に改正した学校暴力防止法の報復的な正義に基づく枠組みです。したがって、教師が修復的な規律でクラスを運営しようとすることと校内の暴力(紛争)に対する学校の公式なアプローチは矛盾しています。第二に、保護者は修復的規律が比較的新しい規律の概念であるため、まだ修復的規律に協力的ではありません。学校が修復的規律を採用するためには、保護者の理解と協力を得る必要があります。修復的な規律は「軽い」罰であると、保護者の間でしばしば誤解されています。

社会改革には勇気と創造性が必要です。特に開拓的なグループにおいては。修復的規律が学校の主流となっている文化を変えられるかどうかは、修復的正義の哲学と日々の教育における修復的正義の実践について、深く理解している教師にかかっています。最終的には、教師が修復的規律とは規律プログラムではなく、教育の枠組みと方向性であることを理解することが非常に重要です。